ずっと観たかった新海誠監督作品
「言の葉の庭」をDVDで観た
靴職人をめざす高校1年生の男
彼は雨の日には1時間目だけ休んで
通学途中の新宿の庭園で
靴のデザインを考えるのが日課だった
ある日庭園に行くといつのも場所で
OL風の女がチョコレートをつまみに
ビールを飲んでいる姿があった
少し躊躇するが
その場所でいつものように靴のデザインを考える
落とした消しゴムを彼女が拾ってくれて手渡す
ふと彼は以前どこかで会ったかと女に聞くが
彼女は「いいえ」と答える
しかし少し経ってから彼の制服を見て「会っているかも」と答え
万葉集短歌の一節を言い残して去っていく
ちょうど梅雨入りしたその日
そこから二人の物語が始まっていく
庭園は新宿御苑がモデル
実際アルコール飲料持ち込みは禁止だが
架空の場所の架空の話
喧騒の新宿に中に佇む静寂の庭園に二人
あるのは雨の音だけ
美しい風景映像にやさしいピアノの旋律が
観る者をとても穏やかな気持ちに誘ってくれる
お互いが今抱えている苦悩を一瞬だけ和らげてくれる
雨の日の朝わずか時の二人の逢瀬
わずか高校1年生の彼があまりに大人びているが
その理由が家庭環境にあることがわずかに感じとれるが
多くは語られていない
しかしかなり年上であろう社会人の彼女は
彼を知っているようだが
年下と思えない彼の包容力に身を委ねている風でもある
その後の意外な展開で
二人の心のつながりが確固としたものになっていく
「なるかみの すこしとよみて さしくもり あめもふらぬか きみをとどめむ」
冒頭彼女が詠んだ歌に終盤彼が返し歌を彼女に詠む
「なるかみの すこしとよみて ふらずとも わはとどまらむ, いもしとどめば」
全体的に詩的で叙情あふれるわずか46分の短編
心地よい余韻に浸りながらも
欲を言えばそれぞれの人物をもっと深く掘り下げた長編だったらと
それだけが少し残念だった